断熱工事は、一般家庭では「キッチンの排気ダクト」、ビル・マンションでは火災時に炎や煙を逃す「排煙ダクト」などに施されます。
その目的は、「火災時の安全を確保する」というもの。
ビルであれば、排煙ダクトから火災を広げないように、また排煙ダクトを火災から守るために、断熱工事が必要となっています。
具体的には、断熱材をダクトに巻く工事となります。
排気ダクトへの断熱工事は、消防法でも義務付けられており、火災時の被害状況に大きく影響します。
断熱材が劣化していたら被害の拡大は避けられません。1フロアにレストランが10軒入っているビルがあったとします。これらの厨房から延びる排気ダクトは、途中でひとつになり、1本の大きな排気ダクトになります。
ひとつの店舗の厨房で火災が発生すると、排気ダクトに炎が入っていきます。
そこで断熱処理がされていなければ天井裏は火の海です。
飲食店だと油が溜まっていることも多いので、被害は深刻の一途をたどるはずです。
すなわち、「火災時の被害を最小限に抑えることができる」ということ。万が一の事態を迎えたとき、断熱工事の効果が確認できます。
断熱工事の有効性を実感できるのは、万が一の事態「火災時」のみ。
それでは、『どのようなときに「断熱工事の検討が必要」と判断できるのでしょうか』
断熱工事は天井裏のダクトなどに施工されるため、目視による点検ですら非常に手間がかかります。
また、消防法で工事が義務付けられているものの、点検は義務付けられていないのが現状のようです。
点検をする目安としては工事をしてから10年〜15年が目安となります。
寿命が約15年程度と言われているので、「工事から約10年〜15年経った建物」は、一度点検工事の検討が必要です。